藻谷浩介さんの話を聞きに行く
こんにちは。OGUROBBYです。
春ですね~。
朝晩は相変わらず冷えるものの、周りの景色が着実に変わってきました。
ついこの間までは、目を覚ますと聞こえてくるのはトンビや鶯のソロだったのですが、最近は自然界の音も厚みを増してきました。
知らない鳥の声が随分と増えました。
そして、カエルも冬眠から目覚めたようです。
何となく、秋の鳴き声と違うように思いますが、求愛行動???
自然界の色んな音に包まれている感じ、なんとも春めいています。
そして、春の訪れはこんなところにも。
土筆(つくし)です。
ちゃんと見るのは、幼稚園だか小学生以来。
こうやって群生している姿に限っては、実は初めてかも。
土筆が成長するとスギナになります。
気が付いたらスギナが群生していることはあっても、土筆がはえている姿は見逃していたのです。
こういう変化に気付けるのは、嬉しいもんです。
そして、ほっこりします。
春は良いですね。
さて、今日のお題です。
先日、町内で藻谷浩介さんの講演を聞きに行きましたので、その話を。
目次
1.数字は引っかけるためのものでもある
2.残る町は「住む理由」を言える町
1.数字は引っかけるためのものでもある
藻谷さんと言えば、その著書、『里山資本主義』が有名です。
各種メディアにも度々登場される他、著作活動、講演活動等で全国を飛び回っているご様子。
僕が住んでいる吉賀町は、人口8千人足らずの小さな町なのですが、 多忙な藻谷さんが、何故吉賀町に?
そんな疑問を抱きながら出席したのですが、冒頭で謎が解けました。
お隣の山口県周南市の出身なんですね。
吉賀町へは、過去にも講演に来られたことがあるようです。
広い意味で、地元、ということなのでしょう。
講演の中身も、地元への応援歌の色合いが強く、移住者が聞くより、地元の方が聞いてこそ、価値のある内容であると感じました。
おっといけない。
先に総括してしまうところでした。(笑)
藻谷さんのスピーチは、データを多用するスタイル。
例えば、こんなクイズ。
「日本で最も空き家の多い都道府県、どこだか分かりますか?」
クイズの前にこんな内容のスライドを見せて頂きました。
2013年に総務省統計局がまとめた、日本全国の空き家率 のデータです。
全国平均 13.5%
山梨県 22.0% (全国トップ)
長野県 19.8%
…
島根県 14.7%
…
東京都 11.1%
…
宮城県 9.4% (全国最低=空き家率が低い)
答えは東京都なんです。
冷静に考えれば、そうですね。
母数が格段に大きいですから。
僕は不覚にも、山梨県だと思ってしまいました。。。
真っ先に騙されるタイプです。
子供の頃、あったじゃないですか。
「『ピザ』って10回言って」ってヤツ。
10回言った後に、おもむろに肘を指して、「ここは?」と聞かれる。
僕は嬉々として、「ヒザ!」って答えていました。
う~ん。もう少し慎重さが欲しい。
でも、土筆に気付けるようになったから、まぁ良いか。
「数字は引っ掛けるためのものでもある」。
「思い切り引っ掛っているお前が言うな」、という声が聞こえてきそうですが、安心して下さい。言ったのは、僕ではなく、藻谷さんです。(笑)
数字は、それ自体に色はついていません。
しかし、切り取り方、見せ方次第で色を付けることは出来ますからね~。
2.残る町は「住む理由」を言える町
日本の人口は、今後どんどん減っていく。
数だけを追えば、都会も田舎も、日本全国で人口が減っていく。
そして人口の絶対数で言えば、都会に人が多い状況は変わらない。
ところが、切り口を変えて、年齢構成で見てみると、別の側面が見えてきます。
藻谷さんは、2010年⇒2015年の年齢層別・エリア別の人口推移を示してくれました。
例えば首都圏。
総人口は、2010年から15年にかけて増える。
但し、子供(0~14歳)は2%減、働き盛り(15~64歳)は3%減。
若い人だけ見たら、人口が減っている。
つまり、65歳以上が大幅に増えているのです。
いわゆる前期高齢者(65~74歳)が18%増、後期高齢者(75歳以上)が24%増なのだそうです。高齢化が着実に進んでいる。
人口ピラミッドで見ると解りやすいのですが、
東京は今後40-50年の間、お年寄りがどんどん増えていく構図。
一方の島根県吉賀町(六日市地区)。
こちらも2015年にかけて人口が減っている。
後期高齢者が4%減。
つまり、高齢化のステージを追え、既にお年寄りすら減ってくるステージなのだとか。
ただ、視点を変えてみると、町が相対的にはどんどん若返っていく。
結局のところ、高度経済成長期に若者が大都市にどんどん出て行った。
人間は誰でも、1年に1つ年を取る。
かつて大都市で膨れ上がった若者が、今は現役を引退し、これからさらなるオトナの階段を上っていくのである。
藻谷さんのスライドには、裏付けとなる数字も色々出ていたのですが、メモしきれませんでした。すみません。。。
ただ、大都市と田舎、どちらが良いかはこれだけでは一概に言えません。
無縁社会となった大都市で、独身の人が80歳でインフルエンザに罹ったとき、一体誰が面倒をみてくれようか。
一方で、田舎は人口そのものが減っていくので、病院を維持できないリスクがある。
田舎のお年寄りは、ずーっと身体動かしているから、総じて元気なんですけどね。
さて、先程は田舎の例として、吉賀町(六日市地区)が引き合いに出ましたが、全ての田舎が若返っていくわけではないそうです。
やはり、若者が戻ってくる、若しくは移住してこないことには、若返ることはありません。そういう地域は、若返る前に消滅してしまいます。
以下は、藻谷さんの考える、若者が離れていく地域の共通点。
- 「ないもの探し」と「悪者探し」が日課
- 親が子供に「この町は駄目だ」が口癖
- 地元民が地酒、地魚、地野菜を食べない
- いくら頼まれても空き家を貸さない
- 議員は全員、無投票当選の男性
- 役場の職員が勉強会に来ない
「なるほどなぁ」と思って、聞きました。
でもこの言葉、明らかに地元の方に向けられていますよね。
同じ島根県の隠岐に「海士町」という町があります。
離島ですから、交通アクセスは決して良くない。寧ろ、悪い。
でもこの海士町、人口が減っていないのです。
この日も、藻谷さんからも説明がありました。
Uターン、Iターンで活気があり、地元の産品を全国に売って外貨を稼いでいます。
僕も東京に住んでいるとき、海士町の話を聞いたことがあります。
その時に見たポスターが、とても印象的でした。
「ないものはない」
でも、そこと向き合えば、次の言葉が自ずと出てきます。
「じゃあ自分達にあるのは、何なのか」
それを徹底的に考えたからこそ、海士町の今があるような気がします。
行ったことが無いので、100%妄想なのですが。(笑)