ダウンシフトを生きる

「ダウンシフト」、一緒にはじめませんか?

海士町で最先端の教育を垣間見た

こんにちは。OGUROBBYです。

9月に入りました。
今年はあまり残暑って感じじゃないんでしょうかね~?
ありがたいような、拍子抜けするような、なんだか寂しい気もします。

最近は列島各地で起こるゲリラ豪雨ですが、今年は特に多かった気が。
九州の豪雨なんかを映像で見ながら、2011年にタイで50年に一度と言われた大洪水があったのを思い出しました。

「今年は、日本も結構きてるで~」

何故か、関西弁で呟いてみる今日この頃です。(笑)
異常気象が日常になってきていると考えるのは、早とちりでしょうか。

目次
1.念願の島根県海士町
2.海士町で最先端の教育を垣間見た

 

1.念願の島根県海士町

 

島根県隠岐海士町
過去、このブログでも何度か触れさせて頂きました。

人口2300人の離島でありながら、ある意味、最先端の地方です。
先月も、神山典士さんの『里山ビジネス ~ダウンシフトという選択~』に海士町が取り上げられていたので、記事を書かせて頂いています。

 

ogurobby.hatenablog.com

 
この本の中には、他にもブログで取り上げたい事例が紹介されていました。
その中で、あえて「海士町」について書いたのは、実は今回行くことがが決まっていたからでもあります。
アウトプットを整理しておこう、ということで。(笑)


行程は、9/2(土)からの1泊2日。
島根県定住財団が主催する研修という形でした。
移住者が島根県に根付くように、県内あちこちに散らばった産業体験者を、一堂に集めて交流、研修を行うという趣旨です。

そして、今回は会場が島根県海士町だったのです。
余談ですが、隠岐というのは主に4つの島から構成されています。
その中の一つ、中ノ島がいわゆる海士町です。

もともと、一度見てみたいと思っていた海士町を訪れるチャンスが、向こうからやってきた。
本当にありがたい話です。

というわけで、本州側のフェリー発着場である七類港まで、高速飛ばして片道約4時間。フェリーに揺られること約3時間。

遠かった。。。

でも天候にも恵まれ、とっても充実した1泊2日でした。

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海もご覧の通り!
最高!


2.海士町で最先端の教育を垣間見た

 今回は、研修プログラムもとても良かったです。
が、滞在中で一番印象に残ったのが、自由時間に見学させて頂いた「海士町学習センター」だったので、そこに特化した記事を書くことにします。

海士町は島を活性化するために、数々の施策を打っています。
その中の柱の一つが教育、「高校魅力化プロジェクト」です。

そして、「海士町学習センター」は、わかりやすく言えば公営の塾です。
これだけ聞くと、何となく「ふーん、そうなの?」で終わってしまいそうですが、、、
この塾、尖ってるんですよ。すごく。
教育については門外漢の、僕のハートに刺さりまくり。
もう、めった刺し。(笑)


本題に行く前に、海士町の教育に触れておきましょう。
隠岐4島内で唯一の高校である島前高校。
平成20年度には全校生徒で28人となり、統廃合の危機に直面した高校が、今や全校生徒180人に。しかも、島外、県外から島へ留学する生徒の数が圧倒的なのです。
島内の生徒数は、30-40人じゃなかったかなぁ。
残りは外から島に留学してきている生徒。

なぜ外部から、それだけの生徒数を集めることが出来るのか。
理由は、その教育スタイル。
徹底的に生徒に考えさせ、自主性を重んじる。
そして、その教育の一翼を担うのが、この「海士町学習センター」なのです。

この日は、副センター長の中山隆さんより、ご説明を頂きました。
中山さんは、島前高校職員室にも席をお持ちだそうです。

公営とはいえ、塾の先生が県立高校の職員室に席を持つなんて、普通は考えられないですよね。でもその連携こそが、島前高校の教育を際立たせているんでしょうね。


こちらが、学習センターの外観です。

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際立った特徴はありません。(笑)


でも、ひとたび中に入ると、圧巻のリノベーション。

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古いものと、新しいものとの調和。
逆にモダン。
なんかワクワクします。

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図書スペース。
現在、海士町全体で「島まるごと図書館化」構想というのが進んでいて、町内13箇所の公営スペースに、このような書棚が設置されているのだとか。
蔵書も、なかなか選び抜かれたものでした。
結構、新しい本もありましたよ。
僕がここに居たいくらい。(笑)


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斬新なデザインだと思いませんか?
壁が黒板になっています。

黒板に「夢ゼミ」というワードがあります。
生徒一人ひとりが、自分自身で自分の興味や夢を明確にしていくためのプログラムをゼミ形式で。
その進捗なんかが、手書きでなされているようでした。
手作り感満載にして、斬新。


そして、センター長さんの肝入りがこちら。
コンセプトは現代の松下村塾だそうです。

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和室ではありますが、レイアウトは完全に会議室ですね。
こういうところで、高校生がディスカッションするんでしょうか?
生徒を集中させるためにも活用されているようです。

広さは松下村塾と全く同じ設計なのだとか。
畳の張り方まで、松下村塾と同じ特殊なものを採用しているそうです。


徹底しているのは、子供の頭に知識を詰め込むのではなく、学ぶ姿勢を身につける、ということ。

都会から離れていることは、ひと昔前ならハンデだったのかもしれませんが、こちらの学習センターではiPad 50台 と、タブレットPC 10台を揃え、館内で生徒に自由に使わせています。物事の調べ方を学ぶのですね。

進路についても、お仕着せはありません。
「それを学びたいなら、〇〇大学と△△大学に学部があるよ」
大人の方で情報を提供すると、生徒自ら考えるのだそうです!

「〇×を学ぶには、どこの大学に行くべきか。
そのためには、何をいつまでに勉強しないといけないのか。」

経済って何かよく分からずに、経済学部を志望した自分とは大違い。(笑)


「卒業生の大学生活は、モラトリアムとは無縁ですね?」

中山さんに質問すると、面白い答えが返ってきました。


海士町って、出会いが異常なんですよ。まるで、リアルポケモンGO!」

養老孟司さんだったり、JAXAの関係者、歴代の地方創生大臣も皆視察に来て、生徒たちと会話しているのだそうです。

面白いのは、ある生徒が和歌山大学の観光学部に興味を持って、パンフレットを取り寄せた。ところが、具体的な中身がよく分からない。
「困ったな~」と周りにこぼしていると、口コミで聞きつけて、ある日突然、和歌山大学の観光学部の学生が訪ねてきたそうです。

この日も、名古屋大学の3年生がインターンで来ていました。
ポケモンの方から、訪ねて来てくれる。
今や、海士町の教育は全国的にも注目を浴びてますからね。


大学に進学した卒業生たちは、決まって言うのだそうです。
「大学に行っても、ポケモンはいなかった。」

ただ、戸惑いを見せるのは数か月。
皆、自分で主体的に行動し始めるのだそうです。

手段、方法がいつの間にか目的になってしまうことって、良くあると思うんです。
日本の大学受験なんか、結構そのきらいがあるんじゃないかな。
僕も大学入学した時点で、結構燃え尽きました。

今の大学生事情は分からないけど。

良い経験をさせて頂きました。



Special thanks to
 海士町学習センター 中山さん、
 島根定住財団関係者の方々、および研修生