『日本が売られる』(前編)
こんにちは。OGUROBBYです。
早いもので、今年も残すところあと1か月。
冬将軍も本腰を上げるのか。
今週末は今季初の氷点下を記録しそうです。
水道管の凍結やら、お風呂の窓を開けっぱなしにしない等、冬なら当然気にかけておかないといけないことを、もう一度思い返しておかないと。
ちなみに、今回の本編。
大長編すぎるので、、、
久々の前後編に分けさせて頂きました。
目次
1.水が売られる
2.『日本が売られる』って、他に何が売られるの?
1.水が売られる
「いきなり何のこっちゃ!?」
そんな声も聞こえてきそうですが。。。
今回は、久々に本の紹介です。
その名も、堤未果さんの『日本が売られる』。
現在、あちこちの本屋さんで平積みで売られ、ベストセラーになっているみたいですね。
そういう情報は入って来るのですが、いかんせん、そういう本屋がないので、確かめようもないという。(笑)
でも、この手の本が売れるというのは、大変喜ばしいことだと思います。
まだ読んでない方は、是非とも手に取ってみて下さい。
現在、日本は大変なことになっているということを教えてくれる一冊です。
スポンサーによって成り立っているマスコミが、決して報道しない(出来ない)事実。
この本読んで頂けるなら、僕のブログなんて読む必要ないです。<キッパリ!>
今回は、「水」の話に絞って紹介していきます。
何気にこの話、TVでも急に騒ぎ出した気がします。
遅いっつーの。論点ズレてる気もするし。
まず、現在の日本では、水はタダみたいなもの。
駅や公園といった公共施設の水道は開放されていますよね。
飲料水こそ購入するという方も増えましたが。
僕の住んでいる島根県吉賀町では、水はもっと生活にありふれたもの。
水道の他に山水が流れ込む池があり。
家を出て30mも先を見下ろすと、そこに川がある。(多分、飲める)
だって、ウチの川上には片手で足りるくらいの人しか住んでないから。(笑)
真冬になれば、凍結防止の目的で水道は敢えて完全に閉めないで寝る。
「水道水が飲める」
これは決して当たり前のことではない。
国土交通省によれば、そんな国、アジアでは日本とアラブ首長国だけなんだそうです。
グローバル食品メーカー最大手のネスレ社が行った調査によると、「2025年までに地球の3分の1の人々が新鮮な水にアクセスできなくなり、2050年までには、地球は壊滅的な水不足に陥る」という。
引用元:堤未果『日本が売られる』
※以下、断りない限りは引用元は同著とする。
日本人だけが、その価値を認識できていない。
そんな話は、珍しいものではありません。
それこそ鮪や鰻といった水産資源。(鮪や鰻は元々高級だが…)
近頃では、鰯や秋刀魚ですら争奪戦が繰り広げられているのを思い起こせば、イメージつきやすいですかね?
1995年8月。当時世界銀行副総裁だったイスマイル・セラゲルディン氏はこう言った。
「20世紀は石油を奪い合う戦争だった。21世紀は水をめぐる戦争になるだろう」
そして、その言葉は現実になる。
そして、日本の水は外資に狙われている。
それでは、水道が民営化されるとどんなことが起きるのか。
<民間企業のノウハウを活かし、効率の良い運営と安価な水道料金を!>
耳に心地よいスローガンと共に導入された水道民営化は、どんな現実をもたらしたのか。
公営から企業運営になった途端、水は「値札のついた商品」になる。
「採算度外視でも国民に安全な水を供給する」ことを目的とする公営水道と違い、運営権を手に入れた民間企業がまず最初にやることは、料金の改定だ。
世界の事例で見ると、民営化後の水道料金は、ボリビアが2年で35%、南アフリカが4年で140%、オーストラリアが4年で200%、フランスは24年で265%、イギリスは25年で300%上昇しているのだそうだ。
300%上昇ということは、「4倍」ということ。
どうでしょう?ピンときますか?
さらに見ていきましょう。
水道が民営化されたときに、起こりうること。
フィリピンでは水企業群(仏スエズ社、米ベクテル社、英ユナイテッド・ユーティリティ―ズ社、三菱商事)によって、水道代が払えない人に市民が水をわけることも禁じられたそうです。
突然、日本企業の名前が出てきたので、ビックリしました。
さらにボリビアの例が続きます。
採算の取れない貧困地区の水道管工事は一切行われず、月収の4分の1にもなる水道料金を払えない住民が井戸を掘ると、「水源が同じだから勝手にとるな」と、ベクテル社が井戸使用料を請求してくる。
困った住民が水を求めて公園に行くと、先回りしたベクテル社が水飲み場の蛇口を使用禁止にし、最終手段で彼らがバケツに雨水を溜めると、今度は一杯毎に数セント(数円)徴収するという徹底ぶりだった。
株式会社の最大の役目は、株主に投資した分の見返りを手渡すことだ。
与えられた使命を全力でこなすベクテル社に対する、株主たちの信頼は厚い。
追い詰められた汚れた川の水を飲んだ住民が、感染症でバタバタ死亡する間も、運営権を持つベクテル社の役員や株主への報酬は、止まることなく確実に支払われていた。
「水道が公営でない」ということの意味が、イメージできてきたのではないでしょうか?え!?それはボリビアの話であって、日本とは無関係!?
そうかもしれません。
でも、問題なのは民営化によって、完全に水の主導権を奪われてしまうということ。
水道って、一社独占じゃないですか。
携帯電話の通信料みたいな、競争原理が働かないんですよ。
選択肢がないんです。
冒頭、ネスレ社の調査のように、2050年までに地球規模で壊滅的な水不足に陥ったとしたら…。
想像するだに恐ろしいですね。
ちなみに、チョイチョイ挟み込まれてくる写真は、本編とは関係ありません。
気分転換、必要ですよね!?(笑)
水道民営化の手口も、本の中で紹介されています。
至れり尽くせりですね。
世界中のどこでやっても、じゃぶじゃぶ儲かる水道ビジネスは、「開発経済学」の概念を全く新しいものに上書きしてゆく。
開発とは、もはや「そこに住む人々の生活向上と地域発展のため」ではなく、「貴重な資源に市場価値をつけ、それをいかに効率よく使うか」という投資家優先の考え方になっていった。
(中略)
多国間開発銀行は財源不足の水道を抱える国に対し、まず公共水道事業の一部を民間企業に委託させ、それから水道の所有権や運営権を企業に売却できるよう法改正させる。
その際、国民が疑問を持たないよう、「民営化こそが解決策だ」という全国キャンペーンを展開させることも忘れない。
彼らは水道だけでなく、「医療」「農業」「教育」の民営化を世界各地に広げるべく、尽力し続けている。
「民営化こそが解決策だ」
どこかで聞いたことあるような。。。
国民や住民を思考停止にいざなう、魔法の言葉です。
ここで、話を少し戻しましょう。
先程、諸外国の例で民営化後の水道料金を紹介しました。
早いところでは、25年前に民営化されているところもある。
現在、水道民営化に関する世界の潮流はどうなっているのか。
世界の水道民営化に関する調査機関PSIRU(公共サービス国際研究所)のデータによると、2000年から2015年の間に、世界37か国235の都市が、一度民営化した水道事業を、再び公営に戻している。
主な理由は、①水道料金高騰、②財政の透明性欠如、③公営が民間企業を監督する難しさ、④劣悪な運営、⑤過度な人員削減によるサービス低下、などだ。
民営化推進派はこんな風に言う。
「やってみなければ、わからないじゃないか。うまくいかなければ、また国営に戻せばいい」
だが一旦、民間に渡したものを取り返すのは、そう簡単ではない。
契約打ち切りで予定していた利益が得られなくなる企業側も、黙っていないからだ。
母集団がいくつかは解りませんが、既に公営化に戻した都市だけで235。
これだけで潮流と言ってしまうのは、少々乱暴かもしれませんが、民営化に懲りて、既に戻した都市だけでこれだけあるのです。戻そうとしている都市を入れたら、どこまで増えるんでしょうか。
さらに、実際に公営化に戻した都市では、企業に売った水道事業の株式を全部買い戻すためにかかった莫大な費用が、全て税金として市民の肩にのしかかります。
アメリカのインディアナ州が仏ヴェオリア社に支払った違約金が約29億円。
ボリビアのコチャバンバ市が米ベクテル社に支払った金額が約25億円。
他にも、国内18の水道事業を民営化し、その後水質トラブルを経て半数を国営に戻したアルゼンチン政府は、再国営化の際に、契約していた9企業のうち6社から提訴されることに。6社のうち米資本のアジュリ1社だけで約165億円の賠償金を支払うことになったそうです。
どうでしょう。
水道民営化、必要と思いますか?
さて、ここからが日本の話。
目下、水道民営化への道を驀進中なのです。
本来国民の命に関わる水道は、憲法第25条の適用で国が責任を取る分野だが、残念ながら我が国の政府にその気はなかった。
代わりに打ち出されたのは、世銀や多国間開発銀行、投資家たちが推進する手法、日本の水道を企業に売り渡す「民営化」だ。
実は日本の水道は、全国に「民営化」「規制緩和」というキーワードを流行らせた」小泉政権下で、当時経済産業大臣だった竹中平蔵氏の主導により、すでに業務の大半を民間に委託できるよう、法律が変えられている。
だが外国人投資家たちには、大きな不満があった。
台風や豪雨や地震など、しょっちゅう自然災害が起きる日本では、その度に全国で老朽化した水道管が壊れ、莫大な復旧費用がかかるのだ。
つまり、外国人投資家たちにとっての下地は整えられつつある。
ただし、彼らにとっての障壁は、天災などにより水道がダメージを受けた場合、復旧にかかるコストです。このリスクは、なかなか値踏みが難しい。
ところが、日本政府はきっちり彼らの障壁を取り除いていく動きを取っていきます。
う~ん、幾らメイド・イン・ジャパン を外国に売るのが仕事だと言っても、水や水道は違うでしょ。
2018年5月、企業に公共水道の運営権を持たせるPFI法を促進する法律が可決する。
まずは自治体が水道民営化しやすいよう、企業に運営権を売った自治体は、地方債の元本一括繰り上げ返済の際に、利息を最大で全額が免除されるようにした。
(中略)
「水道料金」は、厚労省の許可がなくても、届けさえ出せば企業が変更できるようにした。日本の水道が電気と同じ「原価総括方式」であることは、あまり知られていない。
(中略)
何よりも素晴らしいのは、災害時に水道管が壊れた場合の修復も、国民への水の安定供給も、どちらも運営する企業でなく、自治体が責任を負うことになったことだ。
日本の法律では、電気やガスは「電気事業法」「ガス事業法」という法律のおかげで、民間であってもガスや電気の安定供給の責任は、しっかり事業者に課せられている。
だが水道だけは「水道事業法」が存在しないのだ。それをいいことに今回の法改正では、その責任は事業者から自治体につけ替えられた。
これ、今年5月の話ですよ。
知らないうちに、こんなに色々変わっていたとは。。。
本書に書いてあるのですが、背景を補足しましょう。
実は2012年、当時の大阪市長だった橋本徹氏が「水道民営化」構想をぶち上げました。
ところが、当時は大阪の水道事業は103億円の利益を上げる黒字。
橋本氏前任の平松元市長が「生命の源、水を営利企業にゆだねてええの?」と市民にパブリックコメントの提出をよびかけ、市議会でも否決されたそうです。
そういった動きを受けて、自治体の鼻先にニンジンをぶらさげたんですね。
自治体にとっての、民営化のニンジンです。
一方で、企業側へのアピールも忘れてません。
実際、この法案可決から1か月後の2018年6月、大阪市は2018年6月1日から市内全域の水道メーター検針・計量審査と水道料金徴収業務を、仏ヴェオリア社の日本法人に委託。宮城県も2020年から、県内の上下水道運営権を民間企業に渡す方針なのだそうです。
浜松市は、2017年に、国内で初めて下水道の長期運営権を仏ヴェオリア社に売却。(20年契約)
そして、熊本県合志市、栃木県小山市も、この動きに続いているそうです。
そうこうしている内に、国会では更に話が進んでいます。
水道を所有したまま、運営権だけ企業に売る自治体が増え始めたら、いよいよ次のステップだ。
複数の自治体の水道を一つにまとめ、水ビジネスを大規模化する。さらに水道料金に関する部分を、「公正妥当な料金」から「健全な経営のための公正な料金」と書き換えて、企業の利益を保障するための値段設定ができるようにした。これで自治体のつけた料金の上限を超えた値上げをしても、企業側は「健全な経営のため」だと言って、正当化できるようなる。
2018年7月5日。水道民営化を含む「水道法改正案」は、委員会で9時間、本会議ではわずか2日の審議を経て、衆議院本会議で可決された。
ただ、こんな大事な話を、僕も含めてほとんどの国民は気が付いていない。
それは何故か。
本来なら、新聞の一面にデカデカと載るべきニュース。
ニュース番組なら、番組の冒頭で報じられるべきニュース。
それは、もっと別のニュースが、世の中を賑わしていたから。
日本中のマスコミは足並みを揃えたように、オウム真理教の麻原彰晃と幹部7人死刑執行の話題を一斉に流し、日本人のライフラインである水道が
売られることへの危険について、取り上げられることはなかった。
そして、この「水道法改正案」は、昨日2018年12月5日に参議院でも可決。
本日6日に成立予定なのです。
ここ数日、TVなんかでこのニュース見かけるようにはなったけど、遅いよ!!
もう大勢決まったところで報じられてもね。
とんでもなく長くなっちゃいましたが、ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きは後編で!